★物理編
●対称性
・物理学の a priori な言明はすべてシンメトリーを起源としている (「シンメトリー」 H.Weil)
・つまり
・物理学法則の前にシンメトリー
・回路の対称性に基づく求解や変形は回路法則を持ち出さずに認めてもよい。
●どこまで踏み込むか
・実用に供するためにはどこまで電磁気(他の物理も)に親しむ必要があるか、それぞれ考えるためのヒントまたは基礎知識を与える。 (「電気屋に物理を教える」ことである)
・通常の回路教材には出てこないような素子の非理想性にしっかり踏み込む。
● 電源とインピーダンスと電力をマスターする(小学校でやったことを蒸し返す。多角的に解説)
・例示 電池と豆電球の直列並列のバリエーションをできるだけ多く示す。(これビデオもあるとよい)
・負荷を並列にすると、ちょっとだけ暗くなることを突き詰めたい、負荷並列にして、さらに電池を並列にしたらもとに戻る、とか。
ゴール ・電源の内部抵抗を理解できること
・電圧源と電流源の違いを理解し適切に計算できる
・等価回路、テブナンの定理、重ね合わせ
● 寄り道:電流とは ・・比喩を多用して電圧の発生まで腹落ちさせたい
・「電圧」という言い方の曖昧さ(EMANの物理学に記述あり)
「電磁気学の直観的理解法」後藤に示唆多数
・電流=Currentが電気現象特有のものではないこと
・温度差があると熱が移動する。こちらのほうが先に知られていた。
・比例定数は熱伝導率。電気伝導率と同じ考え方。
・オームは、伝導率の逆数の「抵抗」という考え方を提唱。これによって電池の内部抵抗によって、負荷抵抗が小さいときのオームの法則からの見た目のずれの説明がしやすくなった。
・電子が加速されて一定の速度に落ち着く例は、他にあまり例が多くはない。例えば雨滴がある。・・・といいつつ、もう少しマクロに見れば単に摩擦を受けていてそれに抗う力をかけ続けなければいけない、というだけにも思える。
・拡散電流も忘れずに(これも熱に似ているのでは)
・真空管はオームの法則が成り立たない
・加速されるほど電子密度が小さくなるのかな?(そうしないと電流が不連続)・・だとすると渋滞の話に似ているかも
電子密度に応じて電界のプロファイルが変わる(ポアソンの方程式)
単純な加速では電位はxの4/3乗に比例 電流は電圧の3/2乗に比例
・抵抗やコンデンサでは電界が一定。これは電荷密度が0(真空)または、正負の電荷が等量で電気的中性。
★電気回路学の特徴
・最初に非保存系(R)の話が出てくる。保存系の要素(L,C)は機能部品という扱い。
・一方、電気系向けの電磁気の教科書ですら、Rの話は静電界の後から出てくる(先に磁界中心になるか、電流と抵抗を語りつくすかの違いはある)
・Rが出る前は、“電荷がつじつま合わせに移動する”ように思える。Rが出てきて初めて、“電荷の動き方“に着目される
・電気回路学は電磁気学を基礎にしているとは言え「如何に無駄なくエネルギーを消費するか」という視線になろう。
・電磁気を借用するにしても、まず抵抗のところから語ります!と明確にしておくこと。
・混同しないこと
消費電力 RI (この人はエネルギーを貯められない)
蓄積エネルギー ½ CV^2 ½ LI^2 (こいつらはエネルギーを消費せずにため込むのである)
・面白さ(むずかしさ)
必要な電力RIを伝えるには、寄生抵抗分rや、寄生容量C・インダクタンスLと戦わねばならない
一方、R(G)がない場合でも、CとLが相互作用して「電磁波」としてエネルギーを伝えることができ、そこに、伝搬速度1/√LCとともに、特性インピーダンス√L/Cなる抵抗に相当する係数が出てくる。
特性インピーダンスで特徴づけられる電磁波伝搬は、「消費せず伝わっていく」わけであるが、ある空間の1点だけを見ると、あたかもそこでエネルギーが散っていったように見えるのではないか。
具体例:リードフレームとボンディングワイヤ、どちらが大きいか?太さのlogの威力。1㎜で1nH
・「電気回路」という言い方には、「等価回路」という側面と「実際に設計した回路」という側面が混在してややこしい。
・抽象と具象を行ったり来たり
・回路図は抽象、実際の構造が具象
・この構造は等価回路で書くとどうなるか → 知られた回路との対応にて動作が理解される
・この回路図を実際にどう作るか → 最適なインプリを見出す。ディスクリート部品かもしれないし、LSIかもしれないし、分布定数かもしれない。
★等価回路の役割(単なる便利な手段というだけではなく、事の本質の表現を目指していること)
・回路理論の本では「回路を簡単化」するところまでしか言及されにくいが、いまどきそれはコンピュータに任せておけばよい。
・むしろ、「物理構造に由来する電気的特性を回路で表現する」ことのほうが重要
・デバイスのモデリング(&パラメータ抽出)
・電源系統のモデリング
・精度とモデルの規模のトレードオフがあること
・電気回路とのアナロジーに言及されるもの(教育観点だと思う)は、等価回路だといえる
・機械振動系 (逆に、電気回路を機械振動に置き換えて理解させるパターンもあろう)
・音響回路
・流体回路
・シンプルな機械系など、わざわざ等価回路で書く必要がなかったりするが、あえて書く理由を考えてみると
・「微分方程式で記述される系を図で表象する」
に他ならない。
・マイクロホンの等価回路には結構複雑なものもある
・「電気音響工学(実吉)」P116,117 Wente氏のマイクロホン
・生物の神経系統
・電気神経生理学
・信号伝搬時間は遅い2~120m/sec (ヒューマニエンス(再) 2023/9/21)
・キャリアは4種だったか
・分布RC回路? GNDはどこ? イオンチャンネルは2極管みたいなものか。
・軸索内外の電位を保つ働きをもつ細胞が別に居る。
・信号はデジタル伝送。Pulse Number Modulationといえる
・別に化学反応サイクルを表す「回路」もあるのでややこしい (例:クエン酸回路)
★電気回路学のみ(電子回路を含まない)は何に使えるか
・3相交流 → 電力系統
・Sパラメータ → マイクロ波・ミリ波回路
・整合させてSNRをよくしたいことが重要。つまり最大電力供給。
・電圧、電流だけではなく、電力伝搬現象として記述される。Sパラメータが支配するa,bは√入射電力波、√反射電力波 (内藤先生)
★Note
●ブリッジ回路 「当たり前」の回路として提示するのではなく、以下をしっかり伝える
・なぜブリッジが大切なのか(電気計測観点:零位法で説明しておけばよい)
・なぜブリッジは解きにくいのか、常套手段(同電位)および常套手段から逸脱した場合の面倒くささ。
●理想と現実の話
・古典的な電気計測の教科書に枚挙にいとまがない。ありとあらゆる不都合な事象と対峙している
・一般的な温度係数や寄生素子 ・うず電流 ・Diの順方向電圧降下 ・ばねのスティフネス ・コイルの寄生抵抗の温度係数 ・永久磁石の磁化の温特
・ほとんどの効果が等価回路で記述され、補償方法も等価回路上で提示されていて、設計可能
●電流をこんにゃくに例えたらどうか?
・電流を流体でとらえている先生もいるぐらいだから、おかしくはないでしょ
・波動の話もできるかも
●「双極子」の概念の有用性
・アンテナ、誘電体、磁性体の理解を助ける
・四重極子、八重極子というものも存在する(重力波は四重極振動だぞ)
●演習で取り上げたい 1回でよい問題もあるが、複数視点からの解説が欲しい。
・三角関数の加法定理の次数の高いやつ
・回転行列(大迫流)
・実は周波数畳み込み積分だった
・位取り記数法や多項式の乗算も同じこと。
・なぜか? ・・信号が周波数成分の積分で成り立っているからである。(つまりフーリエ解析が可能だから)
・実効値を波形から求めるのとヒストグラムから求めるのは同じ。積分変数の変換
・抵抗メッシュ。3Dメッシュはシミュレータ泣かせであることを教える。
・リアクタンス Rの1オームとLの1オームの分圧の問題
・源代さんの、リングに発生する起電力の問いをパクって、その問題提起を一撃でつぶす回答を考えてもらう
「それはインダクタループだから、そもそも回路解析では取り扱いできない」=「抵抗0ならばDC的にはオームの法則を適用できない」
「トランスの2次側ショートならば電圧は0である。これは誘導起電力が発生していることとバッティングしない」
「電磁誘導はKVLを満たさない」
「誘導起電力/分布している寄生R、Xで割ると電流が求められる」
●電流計と電圧計
・両方使う場合の適切な順序
・測定対象(電流の大小)次第のはず
・原理および等価回路を示してちゃんと計算させる
・発展知識として電力計の等価回路も示す
●スイッチにこだわる
・電力の供給遮断制御: 家電のOn/Off(これは電圧を与えているだけ) モーター制御(電圧を与えたり、電流をあたえたり、切り刻んだり)
・デジタル回路 リレー DTL TTL CMOS
・アナログ回路 Sw-CAP抵抗
・電流電圧の位相、電力、力率 ・エネルギー収支
●S/Hにこだわる
・On抵抗による熱雑音とkT/Cノイズ
・アパーチャー効果、On/Off遷移時間の効果 (別途ISFで解くんだろうな)
●PWM デューティー比
・スイッチング電源など、デジタル入力にもかかわらず中間的な値を出力したいときに使う
・1bit DACと言ってもよい
・時間軸方向のフィルタリング or/and 振幅方向の多値化で求められるアナログに近づけていく。
●OPアンプにこだわる
〇OP Ampの種類(ADIの本に詳しい)
・電圧帰還
・電流帰還
・gm帰還~インストゥルメンテーションアンプ
・Current On-Demand
・多段増幅
・エミフォロバイパスCによる位相補償
・5ボルト電源にこだわる
・OPアンプベースで、仕様項目が重要な理由を導く
・入力振幅と遅延(Razaviのパワーアンプ)
・kTCノイズの描像・・・ノイズパワー∝R 帯域∝1/Rなので、分布は変わらず。ただ、時間が引き延ばされる。
・Sw-CAPのノイズ計算 Ciも効くことをしっかり説明できる絵を描く(CsとCiを入れ替えたり見比べたりすればわかるはず)
・ノイズ、歪の計算方法:“入力換算“
・NF
〇OPアンプの非理想性(GBW、Ao、CMRR、ro・・・・)が応用回路の特性にどのように影響するか ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ 重要
・これが分かれば仕様書を読める
・これができなければアナログ屋とは言えないぞ、と。 ・フィルタ特性の影響が複雑で重要
●コンパレータにこだわる
・目的
・イベント検出 ・・ 入力帯域幅以内では基本的に一定の遅延時間が求められる
・弁別 ・・ 規定時間内に判定できればよい。メタステーブルレートが問題視される(メタステが発生すると、後段のDFFの状態が破壊されたりする。メタステ時の電位と後段の閾値をずらす必要あり)
・クロックの有無
・弁別目的のクロック無しコンパレータとは、プリアンプと同じで、大ゲインで増幅している。後段のクロックありの回路でデジタル値が確定する。実質クロックありと同じで回路パーティションの問題。
・イベント検出コンパレータは、後段で時間計測などの処理がある。クロック数を数えるとか、端数時間を計測するなど。
・正帰還
・初期化要否
・Strong Arm Latch ・・ 要
・Schmitt Trigger ・・ 不要といってよい(ヒステリシス動作の中でもとに戻すことができる)
・帯域幅
・入力帯域幅と応答時定数に関係する帯域幅
・オーバードライブ電圧と遅延
・メタステーブル
・ノイズ ISF
・ISFはCyclo-stationaryでも定義できる
●PLLにこだわる ・コンセプトを書いていくだけで、伝達関数があらかた決まってくる。あとは、おおざっぱにはI型かⅡ型かぐらいか。
●節点方程式(3×3行列)を解いてフィードバック系を手なずける。
・gmを含む回路をひたすら計算する
・上手な式のまとめ方・・語らせること (xxが増えると・・が減る、みたいなことが式を見れば一撃で分かるように)
・1+gmR集ができる 特に入出力インピーダンス。
・2ポート行列を出さなくても、並列FB、直列FBによってインピーダンスが上がるとか下がるとかの話はできる(「CMOSアナログ回路(谷口)」
・そもそも2ポート行列を用いたFBの説明は、ほんしつではない。わざわざ2ポートで説明する必要は無い。教科書には2ポートで書くとこういうことで、2ポートで計算するとこうなります、と言っているだけ。そもそも2ポート表現が意図するようなブラックボックスに対してフィードバックかけて使わせないだろう(実験としてやるのは勝手だ)
・RがZ(jω)ならH,Zin,ZoutにF特 典型例を書いてみる
●フィードバック一般論
・ループゲインが大きければ、FB作用素^-1を実現している (PLL、DSMも) (武藤先生の話をパクる)
・安定性の話がある。制御工学に寄り道して網羅しておく。
・ラウス・フルビッツ、Jury (伝達関数をのものの設計で使う)
・ナイキスト (対象要素をブラックボックスとみる。評価、Simでも使える)
・ニコルス
・ボード線図 (最小位相の話を正確に)
・根軌跡 (パラメータ変わると安定性も変わる)
・還送比(ループゲインAβ) 還送差(特性方程式@・・・/(1+Aβ)
・安定そうで発振する例 (往々にして-60dB/decのオープンループとか) ・・・ボード線図とナイキスト線図
・怖いけど安定する例 (オープンループが不安定でFBして安定する例) ・・・ボード線図とナイキスト線図
・非線形要素があるとどうなるか
・分数調波振動
・カオス かつて、ビヘイビアシミュレーション(C言語)で再現していたのではなかったか。分数調波が同時に出るのではない?(そういうモデルにはしていなかったと思う)
・起動時発振のモデル
●線形代数、特に最小二乗法は信号とお友達であること ほとんどの場合計量行列が対称になる?→固有ベクトルは直交する など、うれしいことが多い
・関数フィッティング
・フーリエ級数(正規直交関数展開) ・確率過程のフィルタリング、平滑化、予測
●トランスに触れてみる
・鉄と銅の塊
・エネルギー密度のあくなき追求 強電分野でどのぐらい苦労しているのか
・渦電流の大きさ
・内部に働く応力の大きさ
・回路としてマスター 電流・電圧の向き 「磁束を保全しようと起電力が働く」の解釈は、自分自身に電流を流したいのか、外部に電流を流したいのかどっちだ? 物理学と電気工学で逆?
●へんな2ポートに触れてみる
・ジャイレータ Z → 1/Z (Z=jX限定ではないと思うが要確認)
・NIC Z → -Z (同上)
The Art of Analog Circuits, Generalized Inpedance Converter (wista.jp)
この記事良い。応用としてグラフィックイコライザがある。
まだまだ回路の発明ネタがあることを示唆しているといえる!
(アーキテクトとは、このようなサイトを面白がって読める人でもある。この点を主張して、「アーキテクト養成教育」への賛同者を募ることができるかも)
●お話ネタ
・最近、どんな新しい機能の回路が提案されたか
・TDC(デンソーのからでよい)
・Time Amp
●高速信号伝送性能向上の流れ
プロセッサーとメモリがあんなに大量のデータをやり取りしてます。
なぜそんなことができるのか説明できますか。
・オーバーシュートはダメ@高速デジタル通信
①保護Diの導通が起きないように、次に波形が暴れないように、振幅をできるだけ小さくする。
②オーバーシュートが起きないぐらいなまらせる
③すると、ISIがどんどん顕在化する。まずここでトレードオフを考えてみる。 ④性能UpのためにRead Channelで使うようなイコライジングや、多値、PRが必要になってくるだろう
★スピーカー(不完全な等価回路表示からの陥穽)
このような話がある。あながち間違いではないようだが。主はApril Foolネタとしている。
The Art of Analog Circuits, 2020 April (wista.jp)
複数SPを使うと能率(動き~音圧∝√エネルギー)が変わる。
「電気音響工学(実吉)」によれば、P/I=ρBlS/2πDm x10^-1 μbar/A
ρ 空気の密度 B コイル近傍の磁束密度 l コイル導体の全長 S 振動版面積 D 中心からの距離 m 振動系の全質量+媒質の付加質量
・能率~空気と接している面積。同じ動きをしていてもより多くの空気を駆動できる→音源が波長に比べて小さい範囲に広がっているならば加算でよい
スピーカーの多数個接続: すんちゃんブログ (seesaa.net)
・SPのインピーダンスが記述されればボイスコイルの動きまでは電磁気的に説明できるが、そのあと音響にどう変換されるかまでは等価回路が書かれていない。
・そこまで表現できる等価回路があってもよい。(空気の音響インピーダンスが負荷になっていて、能率も記述できるようなもの)
実は、スピーカーのエネルギ変換効率はとても低い(%以下)ため、電気的なエネルギーだけ考えていても意味がない。
(そのほとんどが機械損。また、機械リアクタンスが大きいので、無駄に電流振幅がある。
そもそも、コーン型スピーカーでありがちな、音圧90dBをパワーに換算してみる。
0dB 20uPa
90dB 200000×3.16 uPa =0.632 Pa N/m^2
音響インピーダンス(空気) 400 Pa/(m/s) N・s/m^3
パワー/m^2 0.632^2/400 = 0.001 N^2 m^3 / N s m^4 N / m s Nm/s m^2
1m^2あたり、たった1mW
スピーカーの能率は1W入力時、1m離れたところで定義。1m離れたところで、1m^2あたり1mWと言っているのである。スピーカーからの放射角度として1srぐらい広がっていると考えると、この値をそのまま使ってもよいオーダー。
効率としては0.1%!!!。間違っても、電気等価回路だけで出力を語るとMisleading
ホーンスピーカーは、スロートのところでインピーダンスマッチングをすることでもっと効率が良いらしい。