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2.アーキテクトの視野

アーキテクトはジェネラリストである。物理からシステムまで幅広い視野が必要である。広く見ているためのフレームワークは、電磁気現象の活用(応用分野)と記述(微分方程式)になるわけだが、アーキテクチャはその表象として立ち現れ、「サイエンス」と「数学」によって特徴づけられる。

「新しく携わるシステムがわからない」ということは「基礎」が足りていないということ。アーキテクトは、ここをまず確実に獲得しなければならない。アーキテクトが必要とする「基礎」とは、
・教科書的な「基礎」
・非理想現象についての知識(回路あるある+対処の仕方)
といえよう。後者への最適な対処の仕方がシステムアーキテクチャの重要部分である。「なぜそのアーキテクチャなのか?」という問いに対しては、システム特有の非理想現象への対処が必要であるから、が答えになる。

最初からアーキテクチャありきではなく、非理想現象が後になってわかって、それに対処するアーキテクチャができてきたと考えられる(ちがうかもしれないが、最初から全部予想できた人はいないだろう)

RFシステムが好例である。非理想現象としてそこら中にひずみ、掛け算、ノイズがある。対処の仕方はブロック構成とともにブロックの動作を記述する数式で表現される。ADC,PLL,I/Fも同様である。

興味深いこととして、「非理想現象」がミクロ視点であるのに対し、それへの対処の仕方は、回路以上のマクロ視点になることを指摘しておく。(もし、対処もミクロならば「デバイスを治す」ことになるが、普通はデバイスは直せない)

アーキテクチャの視座からは、このようにシステムにして初めて顕在化する細かいことも基礎に含めたい。システム固有の話ではなく、一般化、抽象化が可能だと思う。例えば、レプリカループやバンドギャップで使う、誤差アンプのオフセットの影響がある。この話はopアンプの応用回路における問題として記述できるだろう。単なる「OPアンプ応用」ではなく、一階層上げて「高ゲインアンプを帰還路に持つ回路」再定義し、具体例として:
 ・従来の高精度演算回路
 ・システム高精度化回路
  ・サーボループ
  ・レプリカ (正確な素子値to電気量変換回路を含む)
という高いレベルで、FB安定性や、誤差アンプのオフセット、CAL後ドリフトなどの課題を語ることができる。