アーキテクチャレベルでイノベーションがどこにあるのか知った上でエンジニアリングに臨む。
・まず知ることから。ちゃんと理解するのはやりながらでよい。(多分、そうじゃないと理解できないことも多い)
・今時、回路そのものが新しいことは滅多にないが、「古い」と言って切って捨てたり舐め切って設計するのは困る。回路構成が出尽くしたと思わず頑張る人にはエールを送りたいし一緒になって新しい回路を発明したい
・そうでなくても、作ろうとする回路周辺での過去のイノベーションは把握しておきたい。イノベーションの形態はおおよそ次のようなものであり、きっとどこかに当てはまるはず。この粒度で新しいポイントを明確にできたら、それを達成するための「具体的なアーキテクチャ」を考えてほしい。そもそも「なぜそのアーキなのか」という問いに対しては、必ず「誤差」が語られるはず。下記に示す技術の進歩によってその「誤差」の出方が変わり、それに応じてアーキが変わることをできるだけ早い段階で理解するとよい。まず、このことを言葉で語ろう。
イノベーション形態1 新たな要求への対応
・新しい制約への対処 (例:上は電源電圧、下はノイズ)
・新しい信号処理(計算)の方法 (例:LowIF受信機、FM音源)
既知の回路構成をベースに新しい制約・機能への対応を低コストで実現できるよう考えることが多い。一見するとかなり地味である。しかし、その回路が確実に動作し、安心して使用できるように考えることは、単なるチューニングを超えた高度な開発である。
イノベーション形態2 新しい要素技術の取り込み
・新しいデバイスの使いこなし (例:真空管→Bip→MOS)
・新しい製造方法の特徴を活用 (例:ディスクリート→集積回路)
こちらは、回路、および回路設計そのものが新しくなる余地が期待できる。キルビーによるICの発明の後、次から次へと考案された、さまざまな回路構成のOPアンプにみられる。アナログ設計においてBip→MOSの変化は、まず単純な置き換えがあり、その後、SWとしての動作も取り入れた様々な回路が発明された。(SWのほうが早く実用化していた)