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プログラム(2)この教育の目指すところ

●自信をもって回路を語れるようになる

実体験を伴う学習成果は自信をもって人に語りやすいが、視野がその体験に限定されて、一般化しにくくなる側面もある。逆に、いわゆる専門教育のようにまず机上で一般論から学習する場合、最初は実体験を伴わないので、上手に自信をもって語ることはむずかしいかもしれない。これを補うために演習や実習があるわけである。

企業においては前者はよくある話で、OJTなどもこちらに属する考え方だろう。後者に相当する研修プログラムが用意されているならば受講するように薦められるわけであるが、実体験が伴わないことが課題として必ず浮上する。これに対する回答は3通り。

 ・あとは職場でヨロシク!
 ・演習問題を用意しておいて、道筋をしめしておく
 ・演習・実習プログラムを実施する

3つ目は、小規模の組織で手厚くやれることを重視しているならば現実的だが、そこまで準備工数や受講時間を取れない場合には2つ目が限度、もしかしたら2つ目すらやりきれない可能性もある。

教育プログラム提供側としては、2つ目3つ目のあたりの様々な形態が実現できるように教材を作ることで貢献できるはず。その教育の目的を「自信をもって回路を語る」とブレないように明示すると尚善。

●古典的名著を“すらすら読める”ようになること

どの分野にも名著があるが、まだその分野に習熟しない段階で読もうと思っても何のことかわからないだろう。その本を読めるようになるためには数多くの入門書を読んだり、演習をやって、その分野の語り口を身に着ける必要があるが、この部分の地図が欲しいところである。あるか? 筆者は満足できるものはないと思っている。なぜそうなるかといえば、それは教科書を書く人が「・・を読めるようになること」を標榜するのを恥ずかしい(主体性がない、ミーハー、崇める対象を限定している)と思うからではないだろうか。そこをあえてやってみようと思う。

レベル感の例

 ・「ディジタル信号処理の応用」をすらすら読めること。
  ・この本の前半は特にディジタルフィルタについて俯瞰的な立場で様々な手法を集約して語っている。
  ・それぞれ何のことかわかって、かつ、俯瞰的にどのような筋道になっているのか読み取るための基礎知識が必要であって、それを教えるものとする。

 ・「RazaviのCMOS」をすらすら読めること。
  ・この本を入門用といって手に取って挫折する人が多そうである
  ・なぜ挫折するのか熟考が必要・・Webに書いてあるかもしれない

●参考 図書研究より

・ものづくりの知識 = 材料知識 + 加工知識 + 読図知識
・「機械加工の知識がやさしくわかる本」 2016/9/25   西村 仁 (著)
 ・モノづくり全般に共通した一般知識とは「材料知識」「加工知識」「読図知識」の3つです。
 ・こうした基礎知識は、技術者や製造担当者のみならず、資材購買、品質管理、生産管理、営業部門といった間接部門でも大切な知識となります。
 ・しかし、この三大知識は、理工系それも機械工学科でなければ習得する機会がありません。
 ・文系出身者が多い間接部門では、OJT でしか学ぶ手段がありません。
 ・基礎的な入門書であっても理工系の基礎レベルで記述されており、文系出身者には理解が難しいのが実情です。
 ・文系出身者でも理解できる内容を目指し、一般知識を中心にして、特化した専門知識には触れないことを基本に、機械加工の基礎を説きます。

・このシリーズはさらに、機械設計、図面の書き方、を含んでいる
・これを電気系に置き換えるとどうなるか