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プログラム(1)専門家像(隣接分野、アーキテクチャ)

自分の得意分野と隣接分野を俯瞰した立場、さらには自説と他説を俯瞰した立場から理論をしっかり語れる人が専門家を名乗ることができる。

(1)アーキテクチャ志向

・全体感/観 を アーキテクチャ(基本設計) としてアウトプット
 ・デジタル・アナログとも、誤差との格闘がアーキテクチャを決めていく。アーキテクチャは誤差との格闘の痕。
 ・アーキテクチャーの設計といってもいろいろ。それを金額ベースで分類すると面白いかもしれない

・デジタル時代の高精度アナログ回路
 ・複雑な演算による高精度の信号処理をするためには、求める精度に見合うだけのフロントエンドアナログ部の精度が必要
 ・例:受信機のデジタル化においては、不要な信号を正確に除去するために高精度ADCが必要になる(何という逆説!)

・イマジネーション(全体構想)+数学(理論)+機械(実験)→知識

 ・「エキスパートとは、起こりうる可能性のある、すべての失敗を経験した人である」(ニールス・ボーア) (「数式を使わない物理学入門」より)
 ・「やっちゃいけないこと全部やっている」と言われたことがある

・隣接領域への意識(別途深掘りする)

●専門家への道としての線形代数ネットワーク(興味本位)

・特定の分野でエンジニアリングを一通り学んだら、多様な隣接分野を攻略。
・武器は線形代数 (微分積分は加減乗除と同じく単に計算法、行列式もある意味計算法)
 ・線形代数によってそれぞれの分野の枠組みを表現する
 ・線形代数によって表現される分野
  ・回路 符号 デジタル信号処理 制御 数値計算ベクトル解析 様々な力学 相対論 量子力学
・Note
 ・線形代数とダイナミクス方程式は相互乗り入れがある。
  ・状態方程式 (ダイナミクスの中に行列が書いてある)
  ・関数の内積 (関数の内積は積分で定義される)

・実際には武器は「2乗和」の原理
 ・異なる由来の誤差が2つあったとき、どのように足すべきか?
  ・よくわからないときには、とにかく2乗和をスタートにする
  ・相関があるということになったら真面目に分析する
  ・2乗和ベースは正規分布を想定している。分布の端への考察によって歩留まりまで意識できる。

(2)隣接分野を考える

システムを考えるためには、必ず隣接領域とのかかわりへの意識が必要。狭義の回路技術はそれだけでは完結しており、新しいことをやろうとする場合、回路技術だけを深掘りしてもしょうがない。実際、隣接技術を援用することもあるし、逆に、回路技術が隣接技術の細かいところを補完していることも多い。

回路技術の進歩(特に理論の中核)はサチっているが、隣接領域は進歩が著しかったりする(例えば今ならデータサイエンス)。それらへどんなまなざしを向けるのかよく考えること。そうしないといたずらに振り回されるだけである。進化著しい隣接技術をパクって進化させていくことで、基礎を固めながらいつの時代でも有用な技術となる。

大きなシステム変化がある場合に多様な発明がある。例えば

・OFDM(地デジなど)用FFT用H/W
・画像処理用の54ビットの乗算器
・LSIの集積度Upに伴い受信機のデジタル化の夢、これを実現するためのデジアナ回路技術群

●RF回路を広げていくと、自然と通信システムが範疇に。まずはRazaviに書いてあるレベルのRF回路設計者向けの話から、RFシステム一般論の話、そして、一般論に示される諸例を取捨選択したRFシステム各論(BT、DTV、、、)へ到達。その次は通信ネットワーク論、コンピュータ通信ネットワーク、IT。

例えば、Bluetoothの仕様書を読めるか?
・そこには、あるアーキテクチャを前提とした信号授受の規約が書いてある。
・信号の授受の説明によってアーキテクチャを示していることにもなるか。

●信号処理論は膨大かつ個別性が高いが、
アプローチ1:その要素である有名な計算アルゴリズムは押さえる必要があろう
・CORDIC
アプローチ2:伝統的な分野を決めて俯瞰しておくレベルは必要だろう
・①通信、②音声処理、③画像処理

●アナログとデジタルは同じものでも違う言葉で表現することがあるので、そこをちゃんと知ること。

・Dレンジの設計などで言い方が違ったと思う。“バックオフ”など。
 ・特に信号がガウス分布している状態の表現について、アナログ屋は無知かもしれない。

・アナログ屋の思考=量子化ノイズにはうるさいが、オーバーフローがノイズになることのイメージが欠けている。フルスケールはあたかも絶対最大定格だと考えて、それを越えたら保証できません、と言って終わるつもりじゃないか?

・デジタル屋の思考=量子化ノイズまではわかるが、それ以外のアナログ系ノイズ、ジッタ、電源ノイズが加算されることへのイメージが無い。“AWGN(加法性白色ガウス雑音)“を扱っているのにだ。

・フルスケールとノイズの間に信号をうまく収める仕事。どちらに接近してもノイズ。入力がガウス分布をする場合に、その実効値とS/Nのグラフを書いてみるとよいかも

(Audioなどで、正弦波の入力振幅対DRを書くように)

<制御工学方面>

●回路のアナログ応答の話を突き詰めると、微分方程式論、非線形論に

微分方程式の応用として、機械工学があるはずだが、初歩の2自由度系のアナロジー以外、あまりお目にかかれない。流体のインダクタンス、キャパシタンスが何であるかぐらいは知っておきたいところ(ウォーターハンマー現象を例にとる)

●帰還の安定性は制御理論に 

●「モデリングとフィードバック制御」(古田)に語られているように、「電気回路のブロック線図表記」が可能。回路図とは趣が異なる。  ・・・この本、基礎事項の表現例がきちんと書いてある

システム論となると相関関数で記述されるような不規則現象論に(統計学の出店といえる)

<不規則現象方面>

●有限語長に伴うノイズおよびノイズ対策の話(@デジタル演算)はΔΣで使われるノイズシェーピングとかかわる

●イコライザで出てくる線形回帰モデルの話は、カルマンフィルタ、不規則現象論を経由して時系列分析<「確率と統計」に接続する。

すくなくとも回路分野ではお目にかかれない、ARIMA、SARIMAぐらいまでの古典的時系列モデルは必須であろう(その先、一般化線形モデル(入力(ノイズ)が正規分布とは限らない場合)、一般化線形混合モデル、階層ベイズモデルとつづく)

●不規則現象モデリングとして“マルコフ“が出てくると情報理論に接続(情報理論は時系列解析でも基礎として君臨しているようにも思うが、成書ではあまり書いていないように思える)

<物理方面>

●デバイス動作の話は固体物理に・・・何故金属の表面はピカピカなのか説明できる程度まで知っていればよい

●信頼性は化学反応(活性化エネルギー)   ・・・ Expで効く話なので、PN接合とも関係する

ともに背後に熱力学が鎮座

●実装時の温度勾配は伝熱工学(熱力学、流体力学)

●実装時のストレスは材料力学に