なぜOPアンプ?
古くはアンプというものは、とにかく小さい信号をできるだけ大きくすればよかった。何倍か?なんてのはアバウトでとにかく大きく、と。とはいえその特性が変動するのも困る。ここに、軽くフィードバックすることで多少利得は減るものの安定度が増すことが知られるようになった。さらにオーディオパワーアンプでは、フィードバックすることで、複雑なインピーダンス特性をもつスピーカーの駆動も安定になることも知られてきた。
ここに新たな要請として、「微分方程式を解くためのアナログコンピュータ」が浮上。DCから使えて、積分器、加減算、正確な定数倍を実現する回路が求められた。上記のアンプにフィードバックをかけて使うやりかたを突き詰めて、
差動入力+大ゲイン+フィードバック により
・DCから使える
・精密なゲイン
・仮想接地の提供→加算
を実現。
そうなると今度は、
・ゲインを大きくするための回路構成
・負荷C駆動
・誤差(オフセット、回路ノイズ)を低減する考え方
が求められ、具体的に
・GE/GB/GCの組み合わせ
・多段増幅および安定性を担保するための位相補償
・誤差保証回路
が開発されていった。特にBipolarの時代には、Trのベース電流による誤差の保証が厄介だったろう。
なぜRF?
・無線通信では、かつては、電磁波の回折を期待して、キャリア周波数を下げることで遠くまで伝送しようとされていたが、電離層による反射で短波帯でも遠くまで伝送できることがわかった
・すると、今度は周波数を上げるモチベーションが強くなる
・アンテナが小型に
・情報量の増加に応える → 究極は光通信
・レーダーも可能に
・さらに必要な技術
・ラジオ: 変復調技術(ただでは増幅困難な高い周波数をどうしてやろうか・・という課題を克服)
・テレビ: パルス回路技術(2次元走査のためには必須となった)
なぜデジタル?
・「デジタルだから高画質」は、結果として当たっているかもしれないが、本質をとらえていない。「デジタルだからなんとかできる」が正しい。例えば初期の無線通信はモールス符号(デジタル)しか送れなかったーーというより、デジタルだから送れた、が正しい。また宇宙通信は膨大な信号処理を伴うのでデジタルが必須。
・「デジタルじゃなくてもできるところであえてデジタルにすると、もっといろんなことができる」「その結果、例えば高画質」が正当な筋道。
・ただし「いろんなこと」をやるために「遅延」が増加することを併せて説明しないとフェアじゃない。
混載へ
・デジタル処理をするためにはどうしてもメモリが必須で、メモリと信号処理とアナログをまとめて搭載できるCMOSが有望とされていた。そのデジタル処理に適合したアナログ回路として、ADコンバーター、PLL、RFフロントエンドというものが特定され、開発されてきた。
・RFフロントエンドは、IQあるいはLow IFといった構成になる。デジタル回路はクロックで動くように構成される。そのクロックを誰が作るか、これもアナログ回路。
他・備忘
・数学を除く基礎理論と応用技術は、大きく見ると同時代に開発されたと言える(30年以内のタイムラグは許容)
・AIなどは、エレクトロニクスから離陸したとみたほうがよい
・「半導体プロセスとxx印刷」というとき、xxの中身をはっきり説明してから半導体の話をすること