歴史に合わせて知っておくとよいことが多い
電力系統と回路
・電力伝送システムの主な目的としては「動力、加熱、電灯」に加えて、電子機器(回路)への電源供給がある。
前3者は強電、後者は弱電と呼ばれ、なぜか、強電が先で弱電が後のように語られるが、そうではないらしい (百万人の電気技術史)。事実、発電機、モーターといった強電技術が出てくる前から、手旗信号を置き換える電信技術は開発されており、特に戦争で実用に供されていた。すでに発明されていた電池で電力が供給可能で、あとはネットワークを組むだけだったようである。
通信(電信)システムにとって、電力技術は「背景を強化」する頼もしい助っ人である。20世紀の通信網は、三相交流をベースにする大電力伝送システムの恩恵にあずかっているのである。
19世紀のデジタル通信(電信・非同時)
電力
電話(アナログ・リアルタイム)
20世紀の通信網(デジタル)
という順序
またこのことから、電子機器を動かすためには、相応の「電力」が必要であり、それが確保できる電力システムの開発も必要となるといえる。
強電技術の特徴
・弱電の人も電力系統のことは知っておいてよい。3相交流を深く勉強する必要はないにしろ、イメージだけは持っておこう。特に、トランスのYーΔなど、面白いんじゃないか?
・分野によって、「抵抗」「負荷」のとらえ方、書き方が異なることに注意
・電力系統のテキストでは、「負荷」にどんな電圧が発生するのか解析するのではなく、「負荷」電圧は所与でありそこにどのような電流が流れるのかを求めに行く点が、弱電とは異なる。弱電では出てこない、「相差角」が重要になる。
・同様に電気機器学のテキストにおけるモーターの記述は、負荷には「電機子反作用」という電圧が出てくる。電機子反作用は、入力電圧が大元だとしても、物理的には電機子の運動に基づく起電力であり、その起電力が直列に挿入されるモデルで語られている。
また、見る方向を変えると、その起電力を作った運動が機械的負荷に対して仕事をしているといえる。その結果、負荷が入力電圧から見るとどう見えるか?
直流機・・あくまで抵抗回路で語られているので、抵抗分だと思えばよい
誘導モーター・・すべりsによって変化する2次抵抗
同期モーター・・
・LC分圧回路を考える意味は電力伝送における無効電力の文脈で語ることができる
・フェランチ現象 ・調相設備 ・無効電力補償
・電力系統では、事故が発生したときにどんなことになるか正確に把握した上で対策用の設備を導入する。このためにも、交流等価回路を導いて解けるようになることが必要。
・「需要家の要請に基づいて電力を送る」という使命においては、等価回路(伝送線路も含む)がエンジニアリング対象そのものである。