●入門完了段階の人に見てほしい景色がある。
入門・初級段階の卒業者は「回路そのものを語る」
中級段階の卒業者は「回路の性能を語ることができる」
上級者は「回路の価値を語ることができる」
●中級では視野を広げて行く
・opアンプを活用して可能になるシステム
・とはいえ、opアンプ応用回路を列挙するだけでは不足
⇒対象システムを絞ってopアンプの「性能」を作り込む考え方
「作りきること」「使いこなすこと」を目指して、基礎を補強する。
●そして上級は広い視野でシステムに貢献
・ADCも組み込まれたセンサ全体は上位のシステムと言ってよい
(現代は、チップレベルで絵が描かれるものは「システム」であると言い切れるくらい集積度が高い。集積度が低い時代は、チップレベルでは「要素回路」だったろう)
・OPアンプ応用回路から上位のシステムへはまだ乖離がある。
・その間に「要素機能※」という階層がある。
※言い方はこれでよいか?
・システムの中でどういう機能を担うか?という気持ち。
●3大要素機能※
・センサー
・信号処理
・負荷駆動(相手はアナログ負荷だったり、デジタル電送線だったり)
ここを一つずつ押さえていければ「中級」完成。この時・・
●気にする性能
・目標性能
例:フィルタの伝達関数の欲しい遮断特性に対する充足度
例:入力レベルと信号処理レベルから要求が決まるFE利得
・精度
・ばらつき
・非線形
・充放電動作(大元の電源Z~駆動Tr~負荷~GNDZ)
・ロバストネス(動作範囲or精度保障範囲に本質的な違いはない)
・温度特性
・電源依存
・素子感度
目的によって観点の分岐が発生していると考える
・センサーならば、高精度化が必要
・信号処理ならば、フィルタ合成、AD・DA変換などが必要
(RCの時定数、といった単純な話ではない)
・負荷駆動ならば電源を含む充放電動作が重要
いずれの応用においても、ロバストネスが重要
OPアンプが単なる記号ではなく「生身の回路」に見えるとよい
●習得してほしいこと
・誤差の積み上げ
・オペアンプユーザの立場(仕様書から数字を拾う)
・オペアンプ設計者の立場(Trの簡易モデルを活用する)
・少し複雑な(3×3行列程度)のF特のハンドリング(式変形)
・どこが効くのかはっきりさせる
・理想RCからの乖離がどこに発生しているかはっきりさせる
(・難しいフィルタの伝達関数までは求めない)
・歪率計算
・振幅や周波数依存性を明確にすること
・誤差アンプとしてのOPアンプ
・多彩に見えるがフィードバックシステムとしてみれば大体同じ
・起動問題あり・・一般化は困難。BGRの例で説明。トラブルリストなどで管理
・時間軸精度の重要性
・サンプリング→一般のADC
・コンパレータへの応用→特にSSADC
##以下蛇足##
●鑑賞してほしいこと(教養として)
・理想gm回路
・ADI、TI
・単純な”OPアンプ”ではないアンプがあること
・カレントフィードバック
・電流結合アンプ(VCA810)
・ATTアンプ
・OPアンプのトリッキーな使い方
・計装アンプ、シングル差動変換 など
●理論式の確認手法についての考え方
理論を作ったらシミュレーションによる検証が必要だが、EDA使わない段階の理論でもいろいろ語れる。
・Python
・Excel
●複素数の話
「なんでインピーダンスが複素数なのか?」と素朴な疑問を抱くかもしれないが、
理工学な人にとっては、その問いは重要ではないのだ。
純粋な数学的動機から高校で複素数を学ぶのではなく、
「実は、フーリエ変換およびそこから派生する共通語としてのフェーザ法にたどり着くための土台として複素数を学んできたのだ」
と理解するのが妥当。